ジョニー山中は言った。
「なんの本だい?」
僕は訪ねた。
「人間の土地 サン・テグジュペリの本だよ。」
「先日話していた、星の王子様の作者のサン・テグジュペリの本だね。」
「そう。」
「以前読んだ本なのかい?」
僕は聞いた。
「たぶん」
ジョニー山中は答えた。
サン・テグジュペリの「人間の土地」ギヨメの話
「たぶんって?」「前も話したように、どんな話だったかも覚えてないんだ。
だから、この本が以前読んだものか確証がない。」
「おもしろいね。」
僕は言った。
「ただ、たぶんそうなんじゃないかと思うんだ。」
ジョニーは答えた。
サン・テグジュペリの「人間の土地」に30年ぶりにであう
「ただ、たぶんそうなんじゃないかと思うんだ。」
ジョニーは続けた。
「というのは、本をめくってみたら、ギヨメのことがでてきた。」
「ギヨメ?」
「そうギヨメ」
「ギヨメってなんだい?」
僕は聞いた。
「人の名前」
ジョニーは答えた。
「人の名前?」
「そうだよ。」
ジョニーは答えた。
「ずっと忘れていたけど、たしか、サン・テグジュペリを以前読んだ時もこのギヨメがについて思った記憶がある。」
「ギヨメについて思った?」
「ギヨメとはどんな人物なんだろうって。」
「確かに、ギヨメは印象的な名前だね。いまだにギヨメさん名前を聞いたこともないし、実際に出会ったことももちろんない。」
「1500万54年、この世界で過ごしてきたけれど、ギヨメさんに出会ったことはない。もし、フランスにギヨメさんがたくさんいるのなら、失礼になるかもしれないけれど、そんな印象的な名前だから思い出したんだ。」
ジョニーは笑った。
「でも、もしサン・テグジュペリの別の本に、ギヨメが出てきていたら、この本はジョニーが読んだ本じゃないことになるね。」
僕は、ちょっと意地悪して聞いてみた。
「多分、サン・テグジュペリも、
他の本にギヨメを登場させることはないと思う。それに」
「それに?」
「もし、他の本にギヨメが出てきたとしても、前に読んだ本についてギヨメ以外に何も覚えていないから、この本を読むことに全然問題ないと思うんだ。」
「確かに」
僕は、笑って答えた。
ねえ、ジョニー、私ギヨメさん知ってるわ。 本当? ウソ(笑) |
********
サン・テグジュペリ 堀口大學とフランス文学
********「ところで、このサン・テグジュペリの人間の土地を翻訳している人の名前もちょっと良いね。堀口大學。」
ジョニーは言った。
「ジャン・コクトーの詩集も翻訳した人じゃなかったかな?ジャン・コクトーなどのフランス文学の翻訳もしたし、堀口大學自身も詩人だった。」
「そうなんだね。」
ジョニーは答えた。
「若かったころ、堀口大學の翻訳が素敵だと思って、ジャン・コクトーの詩集を買ったよ。」
僕は、言った。
「ジャン・コクトーの詩集はどうだった?」
「忘れた・・・。まあ、若いころ、はしかみたいに通り過ぎたマイブームだったからね。」
「そうなんだね。」
ジョニーは笑った。
ねえ、ジョニー、私、堀口大學より中野うどん学校のほうが好きよ(笑) |
*******
サン・テグジュペリの本はどうだい?
********「ねえ、ジョニー。」
「なんだい?」
「人間の土地は、読んだのかい?」
「いや、ちょっと読んだけど、やっぱり面白くなかったよ。」
ジョニーは笑った。
「でも、ひさしぶりにこの本を手にしてよかった。なんだかすごくなつかしいし、1ページも読まないうちにすぐに眠りに誘われる。まるで精神安定剤のような本だね。」
「それに・・・」
ジョニーは言った。
「改めて読むと、すらすら読める本ではないけれど、その1行1行が、まるで詩のようなんだ。サン・テグジュペリの原作も素敵なんだろうし、堀口大學の翻訳もすごくいいと思う、僕にはね。」
ジョニーは言った。
「そうなんだね、」
僕は答えた。
*******
人生を変える1冊に出会った??
********「ねえ、ジョニー」
僕は聞いてみた。
「若いころ、この本が私の人生を劇的に変えた!、みたいなことをよく言ってる人がいたりした。君も人生を変えるような本に出合おう、みたいなキャンペーンもあった。僕も人生が変わる事を期待して、何冊か本を読んでみたけど、結局のところ人生を変えるような本には、出合えなかった。それからいままで、人生を変えるような本に出合ったこともない。
本以外でも、人生を変える大きな何かに出会ったことがないように思うんだ。どうしてなんだろうね。」
ちょっと考えて、ジョニーは答えた。
「きっと可能性の話をしてたんだと思うよ。」
「可能性?」
「そう、可能性。」
ジョニーは答えた。
「この本が僕の人生を変えた!なんて、その時にわかる人なんていないと思うよ。きっと後から思い出して、そういえばあの時・・・と思うのが、大部分の人だと思うんだ。たくさん本を読んだらその可能性があるかもしれない、ということを言ってみたかっただけじゃないのかな。」
「よくわからないけどそうなのかな?」
「そうだろうと思うよ。」
ジョニーは笑った。
ジョニーは、僕をなぐさめてくれようとしたのかな?
ねえ、それともし、ギヨメさんと出会うことがあったら教えてくれたらうれしいな。
ギヨメさん、どこにいるんだろうねえ? |
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山で行方不明になった、一卵性双生児の兄「もみあげエルヴィス兄さん」を
探しながら旅を続けるジョニー山中。
旅をテーマにスポーツツーリズムをしながら自分自身の
メタボ対策もしているジョニー山中
嗚呼、ジョニー次はどこに行くのか? 今週末あたりは山に行くんじゃないのかい?
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